キクトコ|一般社団法人教育・就労・介護相談センター

2040年問題と外国人労働

専門知識2040年問題と外国人労働2025.10.21

Photo by Shivendu Shukla on Unsplash

15年後の2040年には労働力は1,100万人不足すると言います。いわゆる「2040年問題」ですが、日本の少子高齢化が極限に達し、労働力不足、社会保障制度維持、インフラの老朽化などが深刻化する社会問題です。リクルートワークス研究所の「未来予測2024労働供給制約社会がやってくる」(2023年3月)の次のグラフが2040年までの労働力の推移を詳らかにしています。

2027年から2040年問題は始まる

ストラテジストの永江一石さんは、リクルートワークス研究所のこの報告書を基に次のように指摘しています。

 『まず2040年には労働力が1,100万人足りなくなるシミュレーション。社会における労働の供給量(担い手の数)は、今後数年の踊り場を経て2027年頃から急激に減少する局面に入る。2022年に約6,587万人であった労働供給量は、現役世代人口の急減に伴って、2030年には約6337万人、2040年には5,767万人へと減少していく。急激に労働力が減少するのは2027年です』

(引用:「2040年に足りない労働力は1,100万人なのに外国人は不要とかバカなんか」AGORA言論プラットホーム。強調は祐川)

リクルートワークス研究所。2023年3月『未来予測2024労働供給制約社会がやってくる』

紹介した『未来予測2024労働供給制約社会がやってくる』のグラフによると2026年の労働者不足は101.7万人ですが、2027年には192.8万人と労働力不足が激化するのです。2040年問題は2040年の問題ではなくて、現在の喫緊の問題だと言えます。ですから、今から2040年に向けての対策を講じていく必要があるのです。

北海道の状況

先に紹介した『未来予測2024労働供給制約社会がやってくる』によると北海道の2030年の労働需給ギャップは▲18.12万人、不足率6.7%ですが、20,240年の労働力ギャップは▲89.11万人で不足率は31.8%にもなります。北海道の労働需給は2030年に以降に急激に悪化していくとされています。

北海道の企業はこの2030年までの5年間で生産性向上や労働力確保等対策の基本を構築する必要があると言えます。

介護分野の2040年問題

労働者にとって介護業界が他業界に比べて魅力的であれば良いのでしょうが、現状では必ずしもそうとは言えないため、労働市場での競争激化の影響は深刻になるかもしれません。

15年後の2040年の話だと少しピンときませんが、2027年から労働人口が急激に減少するというのは喫緊の課題と思えます。
 
今でさえ労働者不足なのですが、再来年以降、さらに深刻な人手不足が待ち構えているのです。

『未来予測2024労働供給制約社会がやってくる』では、介護サービス職種は、2030年に21.0万人、2040年に58.0万人の供給不足が見込まれ、2040年の労働需要(229.7万人)に対する不足率は25.3%と推定されています。

リクルートワークス研究所。2023年3月『未来予測2024労働供給制約社会がやってくる』

2040年に介護分野での労働者不足率が25%超ということは、職員が50人必要だけど37人程度しか確保できないということです。

職員が100人必要な施設は75人しか確保できません。約25%の不足率を前提とすれば、規模の大きな施設ほど不足人員が多くなってしまいます。この規模の人員不足に対してICTやAIによる業務の効率化、生産性向上への取組だけで対応できるとは思えません。

生き残りを賭けた外国人労働者の確保=介護現場の国際化

2040年の不足率25%への対応として、単純に考えれば、不足分を「外国人労働者に頼ろう!」ということになるかもしれません。つまり、最低でも介護労働者の25%程度は海外からの労働者で賄う必要がありそうだということでしょう。つまり、2024年問題への基本対策は介護現場の国際化です。

2040年問題への具体的な対応は、まず外国人労働者を確保し、彼女ら・彼らを活かす仕組み作りが大切ですが、より詳細に提示すると最低限、以下のような取組が必要です。

①外国人労働者を確保する

-優秀な人材確保のための独自ルートの開発
-採用基準及び採用条件の整備(宿舎、支援業務ノウハウの蓄積と支援担当者の配置)

②外国人労働者を生かす仕組みをつくる

-業務の簡便化及び外国人労働者でもわかるマニュル策定
-教育体制整備
-コミュニケーションツールとしての「やさしい日本語」導入
-組織の国際化促進のための多文化理解
-相談体制の整備

一般社団法人キクトコは、皆様のこの2040年問題への対策の同伴者として一緒に歩んでいきたいと思います。

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