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「日本人の英語力は低い」というデータは本当か

専門知識「日本人の英語力は低い」というデータは本当か2026.2.11

英語の教科書

1つのデータ記事を紹介します。Global Ranking of Countries and Regions 2025というものです。日本語では「EF英語能力指数」という言葉で知られていることが多いかもしれません。日本人の英語力がいかに低いのかということがデータから示されています。

しかし、言語社会学者の寺沢拓敬(てらさわたくのり)関西学院大学社会学部准教授(2025年12月現在)は、このデータに警鐘を鳴らしており、その指摘は極めて的を射ています。メディアでご自身の考察を発表されています。

寺沢氏の指摘を端的にまとめると下記の通りです。
・EFという留学斡旋及びその準備教育を業務とする企業が発表している。
・PISAやTIMSSといった類の信頼性の高い国際学力テストではない。
したがって、「EF社がプロモーションの一環として発表しており、調査としてまったく信頼性や妥当性がない」という指摘です。

寺沢氏の書いた記事を丁寧に読み進めていくと上記の主張が根拠あるものであるということがわかるでしょう。

しかし、一方で、「日本人の英語力は低い」という事において「この主張は正当だと思います」とも書いています。批判しているポイントは、「日本人の英語力は低い」という結論ではなく,都合のいいときだけランキングを利用することとも述べています。

至極真っ当な主張です。

前置きが長くなりましたが、このランキングを一旦置いておいて、大方の日本人の英語に対する気持ちを想像してみます。「私は英語が苦手」「英語を話すなんて無理」と考えている人は、かなり多い印象ではないでしょうか。つまり、「日本人の多くの人が英語や英会話を苦手と思っている」のは間違っていないだろうというものです。

とはいうものの、平成23年(2011年)から小学校で英語の授業が必修化され、子どもたちの英語力が昭和の時代ほど低くはないということも事実としてあると思います。

まとめると、日本の学校で行われる英語教育の制度改革の効果もある程度ありつつも、大方の日本人は、気持ちとして、「英語に自信がない」と思っているだろうということです。

今回のこのコラムは、このような状況を認めつつも、どのような心持ちで英語学習・英会話練習と接すればいいのかを考えてみます。なぜなら考え方1つで、また、ちょっと違った目線で考えるだけで、「ちょっと自分英語に自信が出てきた」と思えるようになるのも珍しくはありません。

さて、ここで日本人の国民性についてよく言われることを2つ取り上げます。

1:真面目さ、勤勉さ

真面目さの数値化はほぼほぼ不可能でしょうが、ほとんどの日本人は、自分たちのことを真面目と考えていることでしょう。もちろん、人によってレベルも違うし、個人の性格の違いもあるし一概に言えないことは承知の上です。その真面目さがプラスに働く時、マイナスに働く時を考えてみました。

「プラスに働く場合の例」
・街並みが比較的きれい(掃除やゴミ拾いをするから)
・電車など交通機関の運行レベルが高い(発着のタイムテーブルがしっかり守られているし、交通サービス提供 側も守ろうとしてくれているから)
・落とした財布などの重要な個人所有物が戻ってくる(拾った人が届けるから)「マイナスに働く場合の例」
・英語を話すことに自信がない(思いついた英語をとりあえず口から出してみるのではなく、間違っていないかをかなり気にしてしまうから)

2:皆と同じを好む

目立ちたくないという文化は確かにあるような気がします。教室で学生たちに質問がないかどうか問いかけても皆無言、ちょっとした講演会などで質問がないかを問いかけても皆無言という場面をよく見ます。気心の知れたメンバーの間ならできても、知らない人が結構いるような空間で、しかも沈黙を破ってまで発言するという方は少ないと感じています。これを日本人の英語力という側面で考えてみると、やはり殻を破るのが嫌だという気持ちが見えてきます。例えば、外国人と日本人の両方が集まるパーティーに参加した時のことです。しかし、社交的な人でしょうか、このパーティーでも外国人と話している姿がありました。少数ですが英語を使おうとする日本人はいたのです。有名な国民性を表すタイタニックジョーク(別名、沈没船ジョーク)でも、日本人を海に飛び込ませたいなら、「みんな飛び込んでいますよ」と言えば良いとされているくらいです。

「英語ができない、英語が苦手だ」と思い込んでいるうちは、負の連鎖にしかならないでしょう。

ところが、上記の1と2を自分で客観的に理解した上で英語と向き合うと、道がひらけてくるのではないでしょうか。


「1」について:真面目なことは良いことだけど、英語学習において真面目はちょっとだけ邪魔になる。だから、英語を口から出す時には、ちょっと間違ったくらい気にしないぞ、という気持ちを常に持つということです。

「2」について:自分が英語を話すと周りからジロジロ見られてしまうのでは?とか、大して上手でもないのにでしゃばりたくない、現にみんなもしゃべっていないじゃないか、という気持ちを捨て、「そんなに上手くなくても英語を喋るのは素敵なこと!」という気持ちを大事にするということです。

この気持ちの持ち方ができて、初めて英語文法のまとめて覚えるコツや練習方法のコツの話につながっていくと信じています。(英語文法のコツや練習方法のコツはまたの機会に触れたいと思います。)

どんな場面で英語を使っていくかというイメージを持ちつつ学んでいくと、挫折という言葉は無縁になるでしょう。

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